ロングトレイル最重要アイテム!長距離&長期間歩き続けるためのお勧めシューズ5選

こんにちは。ニュージーランド写真家のトミマツタクヤです。テアラロアへの挑戦を決めてから、ロングトレイルやテアラロアに挑戦したいという人から連絡をよくいただくようになり、その中で最も多かった質問がロングトレイルに挑戦するのに、どんな装備・持ち物を揃えましたか?というもの。ぼく自身も出発前は、やはり3,000kmを歩き切るための装備・持ち物を調べることに最も時間を費やしました。そして実際に1,100km歩いてみて感じたことは、こればかりは経験した人にしか分からないということ(特にアウトドアショップで購入する際、ロングトレイル未経験のスタッフさんからの意見は要注意)。

そして今回の記事で特集するのは、ロングトレイルにおける最重要アイテムである「シューズ」について。防水 or 非防水?ローカット or ミッドカット? トレランシューズ or 登山靴? 様々なロングトレイルを歩いた実体験を元に、シューズのぼくが思うベストシューズ5選をご紹介していきます。

⬆︎ NZ最長ロングトレイル 『テアラロア』のプロジェクト概要

ロングトレイルの定義

まずシューズのお勧めをする前に ハッキリさせておきたいのが、ロングトレイルの定義。日本では稜線をつないで歩く “縦走スタイル” 登山のことを「ロングトレイル」と説明する人も多く、定義が曖昧(色んなウェブサイトを見ていると、「縦走」を「ロングトレイル」に言い換えているケースがほとんど)。ちなみに「日本ロングトレイル協会」のサイトでは次のように定義されていました。

ロングトレイルとは「歩く旅」を楽しむために造られた道のことです。登頂を目的とする登山とは異なり、登山道やハイキング道、自然散策路、里山のあぜ道、ときには車道などを歩きながら、その地域の自然や歴史、文化に触れることができるのがロングトレイルです。

Japan Longtrail Association

ぼく自身もその地域の自然や歴史、文化に触れることができる」のがロングトレイルの真の魅力であり、「縦走」とは決定的に違うところなのかなと個人的には思っています。

テアラロア道中で出会った方のご自宅に宿泊させてもらうなど、ロングトレイルではたくさんの人に助けてもらった。

その一方で個人的な思いとしてはロングトレイルを通して、自然と触れることの大切さを感じてもらったり、人生を豊かに育んでもらいたいだけなので、細かく定義することに対して興味はありません。ただ「装備や持ち物を紹介する」という観点からは線引きがある程度ないと紹介しづらいので、ここではロングトレイルは歩く旅、つまり様々なパターンの道でも歩き続けることのできるシューズ選びという視点でご紹介させていただきます。

ロングトレイルにおけるシューズ選び3つのポイント

前置きが長くなりましたが、テアラロアの体験を元に、ロングトレイルにおけるシューズ選びのポイント、ぼくが実際に使用したシューズなどをご紹介していきたいと思います。まず見出しにも書いたように、ロングトレイルの装備において最も重要となるのが「シューズ選び」。どんなにお金がなくてもここだけは妥協してはいけません。ぼく自身もテアラロアに向けて 最もお金をかけたのも 最も悩んだものもシューズ選びでした。その経験からぼくが考える「シューズ選びのポイント」は次の3つ。

1. 自分の足との相性(フィット感)

シューズは車で言えば “タイヤ” のようなもの。自分の足とマッチしていなければ、長期間&長距離を歩き続けることはできません。足幅が広い or 狭い、足の甲が高い or 低いなど、人によって足の形状が異なるため、一概にこのメーカーがいい!とは断言できませんが、特に足幅が狭い、爪先が当たる靴は要注意。短期間・短距離では影響がないシューズでも、長期間・長距離を歩き続けていていると強い痛みが出たり、慢性的な怪我に繋がってくるので、本番前に実践と同じ荷物・シューズでシミュレーションをしておくことを強くお勧めします。

2. どんな状況(路面・天候)にも対応できる

結論から言うと、ぼくの意見では数ヶ月・数百キロのロングトレイルを歩き続ける上では『トレイルランシューズ』がベスト。先ほども書いたように、ロングトレイルでは登山道以外にも、一般道やビーチなど様々な状況に対応できるシューズを選ばなくてはなりません。アウトドアショップの定員さんは「20kg近くに荷物を持つ場合は硬い登山靴でないとソウルが潰れる」とのことからソウルの硬い登山靴を推す方が多いですが、ぼくの経験からお伝えするとそんなことは全くありませんでした。ぼくは他のハイカーと比べても機材をたくさん持ち歩くため、常にバックパックの重さは20kgを超えていました。その重さで1,100km歩きましたがソウルが潰れることはありませんでした。もちろん使い込めばソウルは徐々に擦り減ってくるので、600〜1000kmを目安に新しいものに変えるのをお勧めします。

テアラロアの序盤は100km永遠を続くビーチを4日かけて歩き切った

3. 「濡れにくさ」よりも「乾きやすさ

雨が降った場合のことを考えると、ゴアテックスを始めとした防水の登山靴がいいと思うのが普通の意見かと思いますし、ぼく自身もテアラロアを歩く前はそのように思っていました。しかし 防水の登山靴の難点は、一度シューズの中が濡れてしまうと全然乾いてくれないこと。テアラロアにおいてはアップダウンが少なく、川を渡ることも何度もありました(3〜4日に一度は川を渡りました)。この場合は、非防水&速乾性の高いローカットシューズがベスト。しかし屋久島のように雨が圧倒的に多く、アップダウンが激しいところが大多数を閉めるコースであれば、防水&ミッドカットのシューズをぼくは選びます。

テアラロアでは一日中、川の中を歩く日もあった

ロングトレイルのお勧めシューズ5選

余談ですが、テアラロアを歩いているハイカーのことを現地では “TAハイカー” と呼んでいます。現地ではたくさんのTAハイカーと出会いましたが、みんなほぼ100%トレイルランシューズで歩いていました。ぼくはプロダクトマニアなので、TAハイカーの装備をすぐに観察してしまうのですが、圧倒的に多かったのがスポルティバHOKAALTRAのシューズ。ぼく自身はULTRAのシューズは使ったことがありますが、ソウルが柔らかすぎることもあってあまり好きになれず…、レビューは控えさせていただきます。

1. スポルティバ|サイクロン

ぼくがテアラロア再開時に履く予定のシューズがこちら。このシューズを選んだ理由は大きく2つあって、1つ目がBOAシステム(靴ひもではなく、細いワイヤーをダイヤルで締めるタイプ)を採用していること。靴紐が解けてしまった時に「一度バックパックを下ろす→靴紐を結ぶ→またバックパックを背負う」行為だけでものすごく体力を奪われてしまいます。しかし、サイクロンはダイヤルを回すだけで大丈夫なので手袋を取る必要もバックパックを下ろす必要もなし。ロングトレイルにおいてBOAシステムの恩恵はめちゃくちゃでかいのでお勧めです。そして2つ目が足首部分の素材。伸縮性のある素材でくるぶしを覆ってくれるため、小石も入らず、ゲイターも不要。もちろん上記に書いた「3つのポイント」も完全にカバー。ぼくにとってテアラロアを歩き切る上で超心強いパートナーです。

2. スポルティバ|ウルトララプター

最近のスポルティバは「AKASHA」や「JACKAL」が主力になりつつありますが、長距離用&足幅広めと言えば「ウルトララプター」。クッション性とプロテクション性能を重視したロングディスタンスモデルで、何を選んでいいかわからない人にとって、これを選べば間違いないかなと個人的には思っています。残念ながらサイクロンは日本国内ではほぼ売切れ状態となっていますが、ウルトララプターは世界中に根強いファンがおり、廃番になることなく販売し続けられているスポルティバのロングセラーモデルです。

3. スポルティバ|アカシャ

今のスポルティバのトレランシューズといえばこれ。「JACKAL」も人気ですが、こちらは足幅が細く、長距離を歩き続ける上では「AKASHA」の方が断然お勧めです。衝撃吸収性に優れ、幅広な足形の採用により、ロングトレイルや長距離トレーニングなど長時間の使用に向いており、こちらもウルトララプター同様、選んで失敗はないタイプのシューズです。

4. スポルティバ|トラバースTX2

これはトレイルランシューズではありませんが、強くお勧めできるシューズです。旅の時はトラバースTX2、もしくはTX4を愛用していましたが、ちょっとしたハイキングも街歩きにも全然問題なし。クライミングのアプローチシューズとして作られているため、とにかく滑らないのが最大の特徴です。これは好みの問題であすが、TX4と比べてソウルも柔らかいため、街歩きなど硬い路面が多い時はこちらの方が歩きやすいかなと思います。

5. スポルティバ|トラバースTX4

テアラロア中断前に使用していたのがこのトラバースTX4。TX2と同様、とにかく滑らない&グリップ力があり、低山ハイクでは最高の1足です。トレイルランシューズやTX2と比べてソウルがやや硬く、街歩きの時は他と比べるとやや歩きづらいかなという印象。また乾きも上記の4つと比べると乾きが遅いのが難点でした。しかし傾斜がきついところや登山道でのグリップ力は素晴らしく、テアラロアを歩く上でとても心強い味方でした。トレイルランシューズの柔らかさがどうも苦手という方や、体幹が弱くて、傾斜が滑りやすいという方には特にお勧めできる1足です(あと個人的にデザイン&カラーは一番好き)。

シューズお勧めのまとめ

お勧めシューズがスポルティバだけになってしまいましたが、ウソは付きたくないので、自分が本当にいいと思うものだけ紹介させていただきました。また日本国内の縦走では防水&ミドルカットの「トラバースXS GTX(スポルティバ)」を愛用しています。今までノースフェイス 、マムート、コロンビア、ULTRAなどのシューズを使ってきましたが、スポルティバに勝るシューズとまだ出会えたことがありません。とにかくスポルティバの靴は滑らない。そして靴擦れが起きたことや足が痛くなるという経験もなく、ぼくが知る範囲ではNo.1シューズメーカーです。ただ冒頭でも書いたように、自分の足にフィットするシューズを選ぶことが最も大切なので、足が合わない方は他のメーカーを試してみることをお勧めします。

【都市伝説】ロングトレイルでは足が大きくなる?

テアラロア出発前、いろいろなサイトに足を運んでは情報収集をしていると…、「ロングトレイルを歩いていると足が大きくなったからシューズは大きめを買った方がいい」という内容の記事がチラホラ。そんなアホな話はないだろうと思っていたのですが…、その都市伝説、本当でした。

ぼくは足がとても小さく、今までは25.5cmの靴を履いていたのですが、歩き続けているとつま先に指が当たるようになってしまい、1,000kmあたりから痛みを感じるようになっていました。ただ帰国後に実寸を測ってみても長さは変わっていない…。あくまでぼく個人の考察ですが、足裏や指周りにも筋肉がついて、足幅や足の高さが大きくなったのではないかと思っています。

事実、出発前の体重が58kgだったのが、テアラロアで1,100km歩いた後は63kgにまで増えていました。当たり前ですが太ったわけではなく、重い荷物を背負って2ヶ月半も歩き続けたことで筋肉がめちゃくちゃついたんですよね。出発前ベストサイズだったTシャツもショーツも気がついた頃にはパンパンになっていました。

そして足周りにも同様、筋肉が付いて今までのシューズでは小さく感じるようになったのかもしれません。現在は26cmのシューズを履いているのですが、シューズを選ぶ時は少しゆとりを持って選ぶくらいがちょうどいいかなと思います。

【まとめ】足元を制するものが、ロングトレイルを制する

さて、ロングトレイルにおけるシューズ選びについて徹底考察させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?この記事を要約すると、こんな感じです。

  1. 自分の足との相性(フィット感)
  2. どんな状況(路面・天候)にも対応できる
  3. 「濡れにくさ」よりも「乾きやすさ」
  4. スポルティバのトレイルランシューズがお勧め

スポルティバへの偏愛が強く出てしまいましたが、参考の1つとしてベストシューズを探し当ててもらえたら幸いです。もちろんこれが完璧だとは思っていませんし、ぼく自身も皆さんによりいい情報を提供できるように、今後も研究を続けていきます。「こんなお勧めプロダクトがあるよ!」などありましたらぜひ教えてくださいね(^^)

それでは最後までお読みいただいてありがとうございました。それではまた。

トミマツタクヤ

ニュージーランド写真家

2013年ワーホリで訪れたニュージーランドの大自然に惚れ込み、登山を本格的にスタート。そして「世界一美しい散歩道」と称される Milford Track(ミルフォード・トラック)をキッカケにロングトレイルの世界に魅了される。2020年には念願だったニュージーランド最長ロングトレイル 『Te ARAROA(テ•アラロア)』に挑戦するも、ロックダウンにより1,100km地点で中断。現在は 2022年11月再開を目指し、ロングトレイルを通してニュージーランドの魅力を発信中。将来の夢はニュージーランド移住。

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▶︎ Website:Takuya TOMIMATSU Official Media
▶︎ 著書:ガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND
▶︎ 撮影用HP:TAKUYA LeNZ Photography

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