1,100kmのロングトレイルで実際に使用した装備&荷物まとめてみた【初心者向け】

こんにちは。ニュージーランド写真家のトミマツタクヤです。テアラロアへの挑戦を決めてから、ロングトレイルやテアラロアに挑戦したいという人から連絡をよくいただくようになり、その中で最も多かった質問がロングトレイルに挑戦するのに、どんな装備・持ち物を揃えましたか?というもの。ぼく自身も出発前は、やはり3,000kmを歩き切るための装備・持ち物を調べることに最も時間を費やしました。そして実際に1,100km歩いてみて感じたことは、こればかりは経験した人にしか分からないということ(特にアウトドアショップで購入する際、ロングトレイル未経験のスタッフさんからの意見は要注意)。

この記事では、ぼくが1,100kmのロングトレイルを歩いた経験から、装備・持ち物を選ぶときの基本的な考え方や、ぼく自身が実際に使用した装備・持ち物をご紹介していきます。

▼ NZ最長ロングトレイル 『テアラロア』のプロジェクト概要 ▼

ロングトレイルで「失敗しない」ための装備・持ち物の選び方

まずロングトレイルの装備・持ち物をご紹介する前に、ロングトレイルの装備・持ち物を選ぶ際に大切だと思う【3つのポイント】をぼくの経験談からお伝えしておきたいと思います。

1. あらゆる場面を想定して “選定” する

まず考え方のベースとして、念頭に置くべきは 登山とロングトレイルはまったくの別物だということ。ロングトレイルはもちろん「登山」としての要素を含みますが、基本的な考え方は「歩く旅」とか「アドベンチャー」と捉えてもらうのがいいと思います。ぼくが挑んだ テアラロア3,000km縦断の旅路ではハイキングコースだけでなく、一般道・牧場・ビーチをたくさん歩きましたし、川を渡らなければならないことも多々ありました。つまり、ロングトレイルではあらゆる場面・状況を想定して、1つ1つの荷物や装備を “選定” する必要があるということ。これがロングトレイルの装備を揃える上で最も大切な考え方の1つ目です。

テアラロア3,000km縦断の旅では一般道を歩くこともしばしばあった。

2. 耐久性・軽さ・快適さのバランス

歩く距離にも寄りますが、数ヶ月にも渡って歩き続けるロングトレイルの場合、数十グラムのちょっとした重さの差が、疲労に大きく、大きく、大きく影響してきます。「たった数十グラムの差だからいっか」→ この考え方が本気で命取りになります。

ただ一方で、今どのメーカーでも「ウルトラライト」を謳っては、軽いもの合戦のようなプロモーションがされていますが、ロングトレイルにおいては軽いに越したことはないけど、耐久性が不十分だったり、著しく快適性を損なうモノのはダメと言うのがぼくの持論。

右胸には一眼レフ、左胸にはGoPro。とにかく機材は重い…

ぼくの場合、一眼レフカメラ + 交換レンズ、ドローンやGoPro、三脚など、機材をたくさん持ち運ぶため、一般のハイカーに比べて7〜10kgほど荷物が重くなることもしばしば。徹底的な軽量化を計ることや、ウルトラライトのアイテムを揃えることは、ぼくの中でもとても大切な要素の1つです。

しかし数ヶ月・数百キロにも及ぶロングトレイルの場合は、その長期間をしっかり歩き切るための「耐久性」がなければ致命傷に繋がります。実際にウェアが擦れてしまってたり、パッキング用のドライサックの繋ぎ目が剥がれて使い物にならなかったり…。1グラムでも「軽く」する視点と、数ヶ月・数百キロ歩き続けるための「耐久性」と「快適性」の3つのバランスを取ることが、ロングトレイルにおける装備・荷物選びの成否を分けるといっても過言ではありません。

3. 本番前にシミュレーションを3回行う

3つ目のポイントは「心構え」に近いのですが、ロングトレイルの怖いところは一度スタートしたら引き返せないということ。実際に歩き始めてから「やっぱりこれはいらなかったな…」とか「これは持っていくべきだった」など考えていても、装備は基本的に変えられません。

そのため、ぼくのお勧めは 本番とまったく同じ装備・荷物を持って、最低3泊4日以上(できれば1週間以上)のトレーニングを3回すること。なぜ「3回」なのかと言うと、ロングトレイルではいろんな場面を想定する必要があるから。できれば山、一般道、海沿いなど、別々のパターンでシミュレーションをしてみて、どんな状況でも歩き続けられる装備がちゃんと揃っているかを把握した上で、本番に臨むことをお勧めします。

今振り返ると、ぼく自身は本番前の実戦形式のトレーニングが圧倒的に不足していました。特に初めてロングトレイルに挑戦する人は不安からどうしても物を持ち過ぎてしまう傾向があります。「何が必要で何がいらないのか」を出発前に実践トレーニングを通して装備をしっかり理解しておきましょう。

テアラロア初日のバックパック。機材があると言えど、明らかに持ち過ぎていた。

ロングトレイルで使用した装備・アイテム一覧

さて 前置きが長くなりましたが、ぼくがテアラロアで実際に使用したアイテム・装備・荷物を次の順番でご紹介していきます。基本的な考え方は上記の3つに加えて、専門メーカーのプロダクトを選ぶのがお勧め。例えばシューズであればシューズ専門メーカー(スポルティバ/HOKA/アルトラetc)、バックパックであればバックパック専門メーカー(グレゴリー/オスプレーetc)の方が、専門メーカーの実績あってクオリティーに間違いがありません。それぞれの装備・アイテムについての詳細はまた別の記事で細かく説明していきますが、この記事は大まかに説明していきます。

※この記事でご紹介するのは、あくまで『テアラロア』における装備です。日本国内のロングトレイルコースや、距離・期間によって選び方のポイントが変わってくるアイテムもありますので、その点だけご了承ください。
▼ Te AROROAで使用したウェア・シューズ・バックパック

1. シューズ

ロングトレイルの装備において最も大切なのがシューズ選び。結論から言ってしまうと、ぼくの意見では数ヶ月・数百キロのロングトレイルを歩き続ける上では『トレイルランシューズ』がベスト。繰り返しになりますが、ロングトレイルでは登山道以外にも、一般道やビーチなど様々な状況に対応できるシューズを選ばなくてはなりません。防水の登山靴がベストだと考える人も多いと思いますが(ぼく自身も当初はそのように思っていました)、防水の登山靴の難点は、一度シューズの中が濡れてしまうと全然乾いてくれないこと。テアラロアでは川を渡ることも何度もあり、ロングトレイルにおいては「濡れない」ことよりも「乾きやすさ」を重視した方がいいと個人的には思っています。

そして個人的にはLa Sportiva(スポルティバ)のシューズがお勧め。スポルティバのシューズでは一度も豆ができたことがなく、足が痛くなることはありませんでした。そしてとにかく滑らない。過去にはアルトラやノースフェイス、マムート、コロンビアのシューズを使用したことがありますが、履き心地はスポルティバが別格です。

ぼく自身はスポルティバ のCYCLONを愛用していますが、日本国内ではほとんど流通がないみたいです。。。このシューズ以外だと、AKASHA、TX2あたりがお勧めです。
▼ぼくがお勧めするスポルティバのシューズはこちら▼

2. バックパック

個人的な意見ではバックパックは60ℓ以下(できれば50ℓ)のサイズに収まるように荷物を選定することをお勧めします。ぼく自身は75ℓサイズのバックパックを使用していましたが、中断している期間に装備をイチから見直した結果、機材を含めても60ℓ以下で十分行けることがわかりました(どんだけ無駄が多かったことか…)。スマホ以外の機材を持たない人であれば50ℓでも十分いけると思います。

ちなみに「それぞれの専門メーカーから選ぶのがお勧め」と言いながら、ぼくはマムートのDucan Spine 50-60 を愛用しています。一番の理由はマムートの特許技術である Active Spineテクノロジー。この技術によって身体とバックパックが連動して動いてくれるため、他のバックパックとは比べ物にならないほど、体の負荷が少ない&快適です(これはぜひ店頭で試してみて欲しい!!!)。中断前のテアラロアでは Trion Spine 75 を使用していましたが、Ducan Spine 50-60は1kg以上の軽量化に成功しており、テアラロア再開後はこのバックパックで残り1,900kmを歩く予定です。

▼ぼくの愛用&一押しのバックパックはこちら▼

3. ウェア

ウェアに関しては、行動着とキャンプウェアの2つに大きくわかれますが、ここに関しては登山で普段愛用しているもので大丈夫です。各アイテムのレビューや紹介はまた別の記事で詳しく書かせていただきますが、ぼくは生粋のマムート好き&マムート推しが続きますが、その点だけご了承ください笑。もちろんマムートを多く選んでいるのにはちゃんと理由があって、それは耐久性をベースにした設計から、できる限りの軽量化を測っていること。ウルトラライトがベースのメーカーだと耐久性が疎かになりがちですが、マムートの場合は逆。耐久性・クオリティーが確保された上での軽量化をしているので、個人的にはロングトレイルのウェアとしては最も信頼しているメーカーです。

▼ぼくが愛用しているマムートのハードシェルジャケット▼

そして実際に使用してみて超便利だったのが、アームカバー。荷物を1回置いて、また背負い直すだけでも物凄いエネルギーを使ってしまうため、簡単に暑さ調整ができる半袖Tシャツ×アームカバーが個人的には一押しの組み合わせです。

▼あると重宝するアームカバー▼

▼ Te ARAROAで実際に使用したキャンプギア・装備 ▼
Te ARAROAで使用した装備・アイテム

4. キャンプギア

1つ1つのレビュー・紹介はまた別の記事で細かく書いていきますが、まずこれらを抑えておけば、どんな環境でも生きていける装備が揃っているとは思います(冬シーズンを除く)。ちなみに中断前のクッカーは「JETBOILミニモ」を使用していましたが、お湯をとても沸かせる利点はあるものの、やはり重過ぎるというのが正直な感想。そのため、再開時は「JETBOILスタッシュ」に変更するつもりです。

その他、命を守るための浄水器や緊急時用のエマージェンシーキットも必須アイテム。ぜひ参考にしていただければと思います。

▼テアラロア再開時に使用予定のJETBOILスタッシュ▼

まとめ

今回は大まかな説明でしたが、いかがでしたでしょうか?ぼくが考える 装備・荷物選びのポイントは次の3つ。

  • あらゆる場面を想定して “選定” する
  • 耐久性・軽さ・快適さのバランス
  • 本番前にシミュレーションを3回行う

もちろんこれが完璧だとは思っていませんし、ぼく自身もより軽く・快適なロングトレイル旅を楽しむために、今も装備・アイテムを研究中です。こんな便利なアイテムがあるよ!などありましたらぜひ教えてくださいね(^^) またぼくが使用している機材やアプリ、テアラロアでの食生活や行動食に関してはまた別の機会に詳しくご紹介していきますので、ぜひ定期的にサイトを覗きにきてみてくださいね。

それでは最後までお読みいただいてありがとうございました。それではまた。

トミマツタクヤ

ニュージーランド写真家

2013年ワーホリで訪れたニュージーランドの大自然に惚れ込み、登山を本格的にスタート。そして「世界一美しい散歩道」と称される Milford Track(ミルフォード・トラック)をキッカケにロングトレイルの世界に魅了される。2020年には念願だったニュージーランド最長ロングトレイル 『Te ARAROA(テ•アラロア)』に挑戦するも、ロックダウンにより1,100km地点で中断。現在は 2022年11月再開を目指し、ロングトレイルを通してニュージーランドの魅力を発信中。将来の夢はニュージーランド移住。

▶︎ SNS:InstagramTwitter
▶︎ Website:Takuya TOMIMATSU Official Media
▶︎ 著書:ガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND
▶︎ 撮影用HP:TAKUYA LeNZ Photography

関連記事

TOP